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ブログ記事 2020年8月7日

合理的配慮提供義務とは

まず第1回は、障害者雇用促進法に規定されています合理的配提供義務に
ついて、解説していきます。

1.定義

【障害者雇用促進法】

第36条の2 事業主は、労働者の募集および採用について、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するため、労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な
負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。

第36条の3 事業主は、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。

第36条の4 事業主は、前二条に規定する措置を講ずるに当たっては、障害者の意向を十分に尊重しなければならない。

2 事業主は、前条に規定する措置に関し、その雇用する障害者である労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

(雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会の確保等に関する指針)

第36条の5 厚生労働大臣は、前三条の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めるものとする。

以上が「合理的配慮」提供義務を定めた内容でありますが、具体的には車いすの利用者にあわせて建物にスロープやエレベータを設置したり、知的障がい者の理解を助けるために、図などを用いた分かりやすい説明資料を作成すること、意思疎通を助けるために、面接時に就労支援施設の職員の同席を認めることのような人的なサポートも含まれます。
また、精神障がい者に対して、勤務時間の調整や出勤時間の柔軟な対応についても含まれます。

2.合理的配慮の手続き

(1) 募集・採用時の合理的配慮

応募者の障がい者が事業主に対して合理的配慮の必要を申し出たことを受け、合理的配慮の内容について当事者で話し合い、合理的配慮を講じるということです。
ただ、障がい者から合理的配慮の申出がない、もしくは申し出ることが困難が場合には、適宜事業主から合理的配慮の案を提示すればよいとされています。
もちろん、障がい者の意向を十分に尊重したものでなければならないことは言うまでもありません。(ただし、事業主に過重な負担にならない範囲で)

(2) 採用後の合理的配慮

採用後は、事業主には障がい者からの申出を待たずに、合理的配慮提供義務を負います。そのためには、採用後は、障がい者が職場で支障になっている事情について、適宜確認することが求められます。
また、職場や障がいの状態は常に変化するので、必要に応じて定期的に職場において支障となっている事情の有無を確認することが求められます。
ただし、その際に、雇用管理に必要なこと以外のことを確認したり、確認した情報を本人の同意なく他の従業員に伝わるようなことは、プライバシーの配慮に欠けることとなります。
なお、十分な注意をもっても障がい者であることを知りえなかった場合には、合理的配慮提供義務違反には問われません。

3.合理的配慮の内容

合理的配慮の内容は、募集・採用時には「障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するために講じる障害者の障害の特性に配慮した必要な措置」、採用後は、「障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために講ずるその障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助をおこなう者の配置その他の必要な設置」と定義されています。
(合理的配慮指針第4の1(1)(2))

しかし、合理的配慮は、職務と関連して行われる措置であるため、障がい者である労働者の日常生活のために必要である眼鏡や車いすを提供することはこれにふくまれない。(合理的配慮指針第4の1(2)イ)
また、中途障がいにより、配慮しても職務遂行に支障をきたすことが合理的配慮の手続きの過程において判断される場合に、当該業務の遂行を継続させることも含まれない。もちろん、その場合には別の職務につかせるなど職場の状況に応じた配慮を行うことは必要です。

4.過重な負担

事業主は、事業主にとって「過重な負担」になる合理的配慮を提供する義務を負わない。
合理的配慮が過重な負担に該当するか否かは、事業活動への影響、実現困難度、費用・負担の程度、企業の規模、企業の財務状況、公的支援の有無等、の判断要素を総合的に勘案して個別に判断されます。
(合理的配慮指針第5の1)
事業主は、障がい者からの申出のあった合理的配慮が過重な負担に該当し、実施することができないと判断した場合は、その旨当該障がい者に説明することを求められます。
この場合にも、事業主は合理的配慮提供義務を免れるということではなく、過重な負担にならない範囲で合理的配慮を講じなければならないことは言うまでもありません。

投稿日:2020年8月7日
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